コラム

映画“国宝”の国宝級の吉沢亮と横浜流星の演技

封切られたばかりの映画“国宝”を早速観てきました。
吉田修一さんと李相日(リ・サンイル)監督のコンビの作品が好きで、映画化された“悪人”の妻夫木聡さんと深津絵里さんの逃避行や、“怒り”の渡辺謙さんと松山ケンイチさん、綾野剛さん、宮崎あおいさん、森山未來さんと広瀬すずさん、そして妻夫木聡さんの三つの場所のミステリーも忘れられません。

吉田修一さんの作品の中でも歌舞伎の世界の世襲制に鋭いメスを入れた、ボクらが高校生の頃、梶原一騎先生の“海商王”や“愛と誠”で感じていた、壮大なお金持ちとの貧富の差を、そして家の血筋で運命づけられる人生に似た世界を痛感させられました。

“国宝”はヤクザの息子に生まれた吉沢亮さんが国宝と呼ばれる存在になるまでの波乱万丈の人生を、1969年から描きます。
中学生の頃の吉沢亮さんを演じるのが、あの大好きなドラマ“からかい上手の高木さん”で、“にしかたぁ~!”とからかわれ続けていた名子役の黒川想矢さんです。

この作品は隅々まで歌舞伎の所作や演目が上手く表現されていて、とにかく美しく華やかな歌舞伎を“こんなアングルで見せてくれるの?”と、めくるめくカメラアングルで、“歌舞伎なんて”と思ってる観客の多くの若者たちも息を?み、涙をこらえ、まるで舞台に上がって一緒に演技をしているかのような錯覚を与えるこの映画こそ、“国宝”級の仕上がりです。

ビッシリのお客さんの歌舞伎ファンは“どんなものだろう?”と覗き見的な部分と、長い小説原作をどう料理したかとチェックに来た方も多そうです。
TVのCMを観て吉沢亮さんと横浜流星ファンの女性の方も大勢来ています。

3時間近い上映時間にオシッコを我慢するのがツラい方も、あっという間の175分です。
2時間55分、一瞬たりともダレない濃密なシーンの連続に、歌舞伎役者の方々も全面協力の凄い覚悟で参加されています。

裏方さんの動きも素晴らしいし、何も知らない人間が“国宝”を観たら一気に敷居が低くなったのではないでしょうか?
歌舞伎の最高傑作キャンペーンになったかもしれません。

この映画は天賦(てんぷ)の才能が血に勝てるのかというのがテーマです。
才能の世界はやってる人間にしかわからない、“こいつ才能あるなぁ!”と、スポーツでもマンガでも感じるはずです。
“国宝”って何?ってレベルの方も納得のストーリーです。

映画そのもので歌舞伎をこんなに真正面から描いた作品は他にありません。
エンターテインメントもたっぷり多くの人の心を動かすことの大変さを見せてくれます。

昭和のスパルタ教育を見て、いまの歌舞伎界の方はどう見るのか。
今朝の“ぼくらの時代”で、ちょうど中村獅童さんと尾上松也さんが出演していらして、世襲について話していらっしゃいました。
楽屋の鏡の前に息子の座布団が並んでいる光景に胸を熱くして、この世界で生きていく覚悟が新たに生まれたとおっしゃっていました。

映画では、厳しい父親の花井半二郎役の渡辺謙さんが九州巡行先の長崎の立花組組長の永瀬正敏さんに、興行のご挨拶に盃をかわすシーンから始まります。
昔の興行の世界が裏社会との蜜月で成立していた頃のお話です。

ヤクザの新年会の席で演じる黒川想矢さんの歌舞伎の演目からスタートです。
ここから始まる“血を超える世界”に2時間55分釘付けです。
今年のアカデミー賞は、これで決まり!
賞を総ナメにするのは間違いありません。

でも横浜流星さんは2024年“正体”で最優秀主演男優賞を獲っちゃってます。
来週封切の“フロントライン”のコロナとの対決を描いた作品との一騎打ちになりそうです。

サブスクの発展で、劇場用映画にも力が入ってきました。これは大ヒット間違いなしです。
配信になる前に大きな画面で歌舞伎の妖しく美しい世界に迷い込んで下さい。

▼6月7日実戦収支
A店収支
+2500円

B店収支
-4000円

▼1日トータル収支
-1500円

▼2025年6月トータル収支
+6万7000円

▼2025年トータル収支(※6月7日現在)
+150万6700円

▼総トータル収支
1994年3月31日~2025年6月7日
+1億303万8740円

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