コラム

ベートーヴェン捏造したっていいじゃない

ブルーロックは3連休一番人気で台選びも出来なくて、ヘンな台に座ってお金を吸われるくらいなら映画館へエスケープです。

“ベートーヴェン捏造”はバカリズムさんの脚本で山田裕貴さんがベートーヴェンの秘書シンドラー役で、ほとんど一人芝居で年表に添ってベートーヴェンの人生を捏造していくお話です。

ベートーヴェンは白髪の地毛で古田新太さんが演じているのですが、古田さんのキャラがベートーヴェンを日本人が演じて、日本語をしゃべってても偏屈なおじいさんそのもので全く違和感がありません。

若い女性が“バカリズムのドラマにハマって、山田裕貴が出るっていうじゃない。こりゃ見るしかないでしょ!”って、上映前のロビーではしゃいでいましたが、映画は期待したように笑いが溢れるノリではなくて、かなりガッカリしたのではないでしょうか?

この映画そのものがベートーヴェン捏造そのものをしちゃってるんじゃないのかとツっ込みたくなる作りです。

19世紀のヨーロッパを巨大LEDスクリーンに写し出して、LEDビジョンの前を歩く中世のファッションの日本人ですから、もう捏造しちゃってるわけで、現在の音楽の学校の先生役の山田裕貴さんが生徒の一人に話す中世ヨーロッパのおとぎ話って感じで2時間です。

ほとんど眠くなっちゃう歴史の授業で、バカリズムさんも完全なオリジナルで描いたほうが絶対面白いのにって映画です。
架空OL日記や地獄の花園や殺意の道程、黒い十人の女、素敵な選TAXIをはじめブラッシュアップライフのタイムリープやホットスポットの宇宙人と主婦の大ヒットドラマを期待して映画館に行かないようにしてください。

“クスリ”と笑えるところがあるにはありますが、ドキュメント要素の強い原作はむしろバカリズムさんの遊び心を封じてしまって残念です。

バカリズムさんのTV番組“バカせまい史”や、谷原章介さんのEテレ“偉人の年収 How much?”のベートーヴェン編のほうが面白かったです。

1977年に捏造がバレたことも知らなかったし、捏造したベートーヴェン狂信者のシンドラーの存在も初めて知る日本の映画ファンには、TVの予告が一番面白く、中世のコスプレをした俳優の方々にもお疲れ様でしたと言いたい映画でした。

だいたいベートーヴェン像というかイメージをそんなに壊しているとは思えない古田新太さんの存在感が、一人暴走するシンドラー役の山田裕貴さんの狂気だけ浮き彫りにしたあたりは、バカせまい史のバカリズムさんそのものって感じで、ご本人もこそばゆい原作だったのではないでしょうか?

結局“捏造して何が悪いの?”って感じで終わるのも、偉人たちのイメージは現代人の頭の中でどんどん描き変えられてもいいし、真実は闇の中でもいいじゃないって気にさせられます。

次々に歴史上の資料が見つかって“1192年いいくに作ろう鎌倉幕府”も日本史で描き変えられたし、坂本龍馬の実像も次々に暴かれていく時代です。
NHKの歴史探偵やアナザーストーリーズなど、欠かさず保存しているドンキホーテには、ベートーヴェン捏造なんてどうってことないやって受け止めて、10数人の観客と共にスクリーンを後にしたのでした。

P.S. じつはパチンコに行く前に2015年の“トイレのピエタ”という傑作映画を事務所で観て感動していたのも、“ベートーヴェン捏造”に影響したのかもしれません。

10年前の映画の“トイレのピエタ”は、THE YELLOW MONKEYのドキュメント映画“オトトキ”の監督の松永大司さんの名作です。
野田洋次郎さんと杉咲花さん、リリーフランキーさんの末期がんに侵された主人公の周辺のドラマが秀逸で、ただのお涙ちょうだい映画とは一線を画す名作です。
RADWIMPSの野田洋次郎さんはNHKの“船を編む”でもいい演技をしています。

“トイレのピエタ”は手塚治虫先生のエッセイを元に描かれた深いドラマです。
今観ても、いや現在(いま)観るから改めて心を突き刺すのです。
オススメですよ。

▼9月14日実戦収支
A店収支
-3000円

B店収支
-2500円

C店収支
-3000円

▼1日トータル収支
-8500円

▼2025年9月トータル収支
+27万6000円

▼2025年トータル収支(※9月14日現在)
+271万9300円

▼総トータル収支
1994年3月31日~2025年9月14日
+1億425万1340円

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