「キィーーーーーーン!!」 手応え抜群の打球は左中間の青空に向かって飛んで行った。僕は全力疾走をやめた。ベンチが大いに盛り上がる。ボールの着弾はネットの遥か向こう。 人生初のホームランだった。 僕はダイヤモンドを1周する間、地獄の冬練習を思い出していた。 思い出すだけでゲロを吐きそうになるくらいの辛い地獄の冬練習。我がチームのそれは、秋の大会で早々に負けたことによって冬の訪れより早く始まった。冬練習が地獄であることは以前から先輩たちに何度も聞かされていた。1年生の僕としては先輩からいくら地獄具合を聞かされ ...